Job型雇用・賃金制度について

ジョブ型雇用への転換
政府の経済財政諮問会議が作成した「経済財政運営と改革の基本方針2020」によると「フェーズⅡの働き方改革に向けて取組みを加速させる」とあり、ジョブ型雇用への転換と成果重視の人事システムを目指す方針とのことです。

つまり、職能給と言われるコンピテンシー・勤務態度を含む能力中心の年功的な雇用体系から職務中心の成果重視型雇用体系への移行を進めるということです。

職務に紐づくことで定期昇給や年齢の順に役職につくといった不公平さが解消され、企業横断的に通用するスキルを職務定義し活用することにより、さらに自身が活躍できる場所で働くという雇用の流動制が高まることが期待でき、生産性の向上に繋がります。

2020年度新入社員意識調査でも、働きたい職場について「個人が評価され、年齢・経験に関係なく処遇される実力・成果主義の職場」が66.1%「競争よりも、ある年代まで平等に処遇される年功主義の職場」が32.2%でした。
働き方についても「一つの仕事を長く続けて専門性を磨きたい」が63.9%、「いろいろな業務を経験し、仕事の幅を広げたい」が34.5%という結果で、公平さや自分らしさの発揮という視点でニーズ自体も高まっていることが伺えます。

公平性と個性の発揮という点でジョブ型の賃金制度は非常に賛同できるものですが、それにはクリアしないといけない壁がいくつもあります。

①綿密な職務分析と職務定義
②経営者の理解 
③人事担当の推進
④今まで年功的な賃金制度の恩恵を受けていた従業員の理解

などが対応すべき課題、障壁になり得ます。

特に今まで、「人」をベースに組織を構築してきた会社には今までの貢献度も踏まえて役職を与えているケースもあり抵抗がある可能性が十分にあります。

また、職務の内容を客観的かつ明確に定める必要があるので、今まで人を中心に組織が構成されてきた歴史がある以上、現状では職務の内容が不明確であることが多く、結局、ポジションや職務内容ではなく、この人だからこの金額という設定に陥りがちです。貢献度、経営に与えるインパクト等を客観的に明文化して、時間をかけて丁寧に職務を洗い出し、定義する必要があります。

変化には痛みを伴うもので、必ず犠牲となる人がいます。人事がjob型雇用・賃金制度を推進するには、公平性と個性の発揮という観点で「今」の貢献度をどう定義し、経営者や従業員に対する説明責任を果たせるかにかかっています。

この先、ずっと一社に努めるという時代ではありません。

強みやスキル、専門性が最大化される仕事で成果を発揮して生産性を高めることがやりがいを持って働くことにも繋がります。汎用性ある尖った専門性を持ち続けるかという観点が大切になってきます。

関連記事

TOP
TOP